🚉途中下車の旅|京都駅の裏側から東寺へ。知らなかった京都に出会う午後

訪問日:2026.4.30(昭和の日)

三十三間堂を後にし、鴨なんうどんで昼食を済ませた。

次の目的地は、東寺。

京都駅の南側を歩いて向かう。

三十三間堂から東寺へ向かう途中の京都の町並みと近鉄東寺駅周辺の風景

三十三間堂から東寺へ向かって歩く。
観光地を少し離れると、京都の日常の風景が広がっていました。


京都駅といえば、観光客でにぎわう駅前を思い浮かべる。

けれど、駅の裏側へ回ると、空気が変わった。

ビジネスホテル。

住宅。

駅から百メートルほどしか離れていないのに、急に京都らしさが薄くなる。

少し寂れたようにも見えた。

え?

本当に京都駅のすぐ裏?


観光地として整えられた京都だけではない。

人が暮らし、働く京都もある。

歩くと、そういう場所に出会う。


五重塔を目印に東寺へ

歩いていると、五重塔が少しずつ近づいてきた。

京都の街並みから現れる姿は、やはり存在感がある。

もう着いた。

そう思ったのだが、正面からは入れない。


東寺には複数の門があり、そのうちの一つから入るのが最短だったらしい。

私は知らずに別の門まで歩き、境内を横切ることになった。

ははは。


でも、その遠回りも悪くなかった。

ゴールデンウィークなのに、歩いている人はほとんどいない。

静かな道を、そのままゆっくり進んだ。

今日は、そんな日らしい。

新緑に囲まれた東寺五重塔と境内の風景

新緑に包まれた東寺。
京都駅から歩いて行ける場所とは思えないほど、静かな時間が流れていました。


世界遺産・東寺を歩く

東寺の正式名称は、教王護国寺。

真言宗の総本山であり、世界文化遺産「古都京都の文化財」を構成する寺院の一つでもある。(東寺 – 世界遺産 真言宗総本山 教王護国寺)


平安京の時代から続く場所を歩いている。

そう考えると、京都駅のすぐ近くにいることが不思議に思えた。

近代的な駅。

ビジネスホテルや住宅。

その先に、長い歴史を持つ東寺が残っている。


講堂で見透かされる

まず、講堂に入った。

内部は撮影禁止。

大きな仏像を前にすると、こちらの内側まで見透かされているような気がした。


何を考えているのか。

どんな気持ちでここへ来たのか。

何も話していないのに、すべて知られているような感覚になる。

人が仏像の前で静かになるのは、祈りだけが理由ではないのかもしれない。


金堂に流れる、別の空気

次に金堂へ入る。

講堂とは、また違う空気だった。


目の前にあるのは三体の仏像。

像そのものだけでなく、背景の壁の色や建物の木組みまでが、一つの空間を作っている。

包み込まれるというより、少し閉じ込められたような感覚。

どこか逃げ場がなく、囚われたようにも感じた。


同じ寺の中でも、建物が変われば空気も変わる。

仏像の数ではない。

配置や色、光、木の組み方までが、人の感じ方を変えるのだと思った。


建物より、庭師が気になる

境内を歩いていると、庭を手入れする人の姿が見えた。

庭師だろうか。

私は、こういう人を見ると、つい立ち止まってしまう。


多くの人は、金堂や講堂、五重塔を見上げている。

私は、庭を整える人の手元を見てしまう。

どこを切るのか。

何を残すのか。

庭全体を、どのように見ているのか。


池も庭もきれいだった。

古い建物だけでなく、それを囲む景色も、人の手で守られている。


危うく見逃すところだった五重塔

五重塔を写真に撮った。

これで見た。

そう思い、そのまま通り過ぎようとした。


すると、一人の参拝者が塔の横へ歩いていった。

あれ?

何かあるのだろうか。

少し気になり、私も後を追ってみた。


中へ入れる。

え?

知らなかった。

危なかった。

もう少しで、そのまま通り過ぎるところだった。

ははは。


東寺の五重塔は高さ約55メートル。

現存する木造建築として、日本一の高さを誇る。(東寺 – 世界遺産 真言宗総本山 教王護国寺)

この日は特別公開の期間で、普段は入れない初層内部を拝観することができた。五重塔内部の公開は、特別公開などの期間に限られている。(東寺 – 世界遺産 真言宗総本山 教王護国寺)


内部には仏像があり、壁には色彩も少し残っていた。

外から見上げた五重塔とは、まったく違う世界だった。

重い木造建築の中に、かつての鮮やかな色が残っている。

人が一人、横へ歩いていかなければ気づかなかった。

知らないまま写真だけ撮り、満足して帰るところだった。


空海と、お遍路の記憶

東寺は、弘法大師空海ゆかりの寺。

真言宗の総本山でもある。(東寺 – 世界遺産 真言宗総本山 教王護国寺)

☆スペース

般若心経。

空海の像。

目に入るものが、四国のお遍路へつながっていく。

三十三間堂でも、お遍路用の一円玉を使い、父の時計と母のブレスレットを身につけた。

東寺でも、また空海に出会った。


この日は、お遍路とのつながりが多い。

四国を歩いているわけではない。

それでも、止まっていた旅の続きが、京都で少しずつ動いているように感じた。


宝物館で見つけた小さな相棒

宝物館へ向かった。

東寺、宝物館、観智院を巡れる共通券を購入していたので、そのまま見学する。


ショップで目に留まったのは、組み紐の携帯ストラップだった。

祈祷済みと書かれている。

明るい色なのに派手すぎず、とても上品。

私の好きな正絹だった。


以前使っていたのは、紐で編んだ小さなわらじのストラップ。

なくしてから、代わりを探していた。

金属製や大きな飾りは、スマートフォンの画面に当たりそうで避けたい。

かといって、どや!と主張する物も少し違う。


ようやく見つけた。

これなら、画面にも当たりにくい。

旅の記念品というより、これから一緒に歩く小さな相棒になりそうだった。

東寺宝物館と購入した組紐ストラップ

宝物館を見学したあと、記念に組紐のストラップを選びました。
京都らしい思い出が一つ増えました。


靴を脱いで、観智院へ

最後に観智院へ向かった。

観智院は東寺の塔頭寺院で、東寺真言宗の別格本山。

密教教学の中心となった場所でもある。(東寺 – 世界遺産 真言宗総本山 教王護国寺)


靴を脱いで上がる。

一日歩いた足が、少し楽になった。

庭を眺めながら、ゆっくり進む。

東寺の境内とは、また違う静けさだった。


本尊は、五大虚空蔵菩薩坐像。

動物の上に乗る五体の仏像が並んでいる。(東寺 – 世界遺産 真言宗総本山 教王護国寺)

珍しい姿に目を奪われた。

しかし、この場所でもう一つ出会ったのが、宮本武蔵だった。


宮本武蔵は、剣だけではなかった

国宝の客殿には、宮本武蔵が描いた「鷲の図」と「竹林の図」が残されている。(東寺 – 世界遺産 真言宗総本山 教王護国寺)

え?

宮本武蔵?


二刀流の剣豪として知られる人。

剣だけでなく、絵も描いていた。

しかも、趣味で少し描いたという雰囲気ではない。

鷲も竹も、勢いがある。

静かな部屋の中に、武蔵の力が残っているように見えた。


なぜ、宮本武蔵の絵が観智院にあるのだろう。

気になったので、帰り際に職員の方へ尋ねてみることにした。


職員の方から聞いた宮本武蔵の話

職員の方から伺った話では、宮本武蔵は名を上げるため、京都で道場破りをしたという。

勝ったものの、その後、多くの門下生から狙われることになった。

そこで観智院にかくまわれた。


観智院には、さまざまな人が出入りしていた。

その中に絵を描く人がいて、武蔵は絵を学んだ。

自分でも描きたくなり、筆を取った。

その作品が、今もここに残っているのだという。


剣豪が命を狙われ、寺に身を隠す。

そこで絵と出会い、自分の作品を残す。

人生は、追い込まれた場所から別の道へつながることもあるのかもしれない。

※この逸話は、訪問時に職員の方から伺った内容をもとにしています。


石庭の向こうに五重塔

職員の方に、観智院でおすすめの場所も教えていただいた。

石庭の背景に、五重塔が入る場所。


庭だけを見る。

五重塔だけを見る。

それぞれでも美しい。

でも、石庭の向こうに五重塔が重なると、観智院と東寺が一つの景色になった。


自分だけなら、気づかずに通り過ぎていたかもしれない。

三十三間堂の軒下に残る矢も、観光客の方に教えてもらった。

東寺では、五重塔へ入っていく人を見て、中へ入れることを知った。

観智院では、職員の方に景色と宮本武蔵の話を教えていただいた。

東寺観智院の庭園と建物の風景

観智院では、静かな庭と建物を眺めながら、
ゆっくりと流れる京都の時間を味わいました。


この日は、人に教えてもらって見つけることが多い。

知らないことは、少し恥ずかしい。

でも、知らないから尋ねる。

知らないから、人の後を少し歩いてみる。

その先に、自分だけでは見つけられなかった景色があった。


静かな東寺を出る

まもなく午後5時。

東寺の閉門時間が近づいていた。

五重塔初層や宝物館などの公開時間は時期によって異なるため、訪問前に公式案内を確認した方が安心だ。(東寺 – 世界遺産 真言宗総本山 教王護国寺)


門が一つ、また一つと閉じられていく。

出られる場所を少しずつ絞っているのだろうか。

気づけば、先ほど通った門も閉まっていた。


この後、夜のライトアップ拝観が始まる日だった。

一度閉めてから、夜の東寺へ切り替わる。

短い旅行で多くの場所を巡る人には、夜間拝観も使いやすいのかもしれない。


でも、私は昼の東寺で良かった。

ゴールデンウィークなのに、人は少ない。

講堂と金堂の空気を感じ、庭師の手元を眺め、五重塔の内部へ入り、観智院で宮本武蔵と出会った。

静かだからこそ、立ち止まれた。


知らなかった京都を歩く

京都駅の裏側は、私が思っていた京都とは違った。

東寺の入口も知らなかった。

五重塔に入れることも知らなかった。

観智院に宮本武蔵の絵があることも知らなかった。


知らないことばかり。

でも、知らなかったから歩いた。

知らなかったから立ち止まった。

知らなかったから、人に尋ねた。


東寺は、見る物が多い寺だった。

けれど、最後に残ったのは、情報よりも小さな発見だった。

人が一人、塔の横へ歩いていったこと。

職員の方に声をかけたこと。

石庭の向こうに五重塔が見えたこと。


少し、京都を旅慣れてきたかな。

なーんて。


🗺 この日の散策ルート

この日は、京都駅から三十三間堂へ向かい、鴨川製麺所で昼食をとった後、歩いて東寺へ。

夕食は京都駅近くの京料理店へ立ち寄り、最後は山科駅で一日を締めくくりました。

🚉 前の記事|途中下車の旅

千体の観音像の前で、お遍路用の一円玉を使いながら手を合わせました。

止まっていたお遍路が、少し動き出した日の記録です。

👉🚉 途中下車の旅|三十三間堂。止まっていたお遍路が、少し動き出した日


🍵 あわせて読みたい|美と味

東寺を出た後、京都駅近くで見つけた京料理の店へ。

入るとすでに予約でいっぱいでしたが、空いている一時間だけ席を用意していただきました。

👉🍵 美と味|町衆料理 京もん。京都駅の裏側で見つけた、丁寧な京料理


京料理と日本酒で一日を締めたはずが、二万歩以上歩いた体には少し物足りない。

帰り道の山科駅で、もう一度うどんを食べることになりました。

👉🍵 美と味|山科駅・麺家の鶏天定食。ごちそうの後に食べた駅うどん


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