💊薬と人のあいだ⑥|日本人は、なぜ飲む前に飲むのか?

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居酒屋へ向かう前。

コンビニやドラッグストアで、
小さな瓶を手に取る人がいる。

栄養ドリンクのようにも見えるが、
少し違う。

目的は、
「元気になる」ことより、
「明日に残さない」こと。

日本には、
二日酔い対策のドリンクが数多く存在する。

ウコン。
しじみ。
肝臓エキス。
漢方系。

棚には、
「飲む前に」
「翌朝すっきり」
そんな言葉が並ぶ。

海外にも、
二日酔い対策はある。

水を多めに飲む。
スポーツドリンクを飲む。
ビタミンを取る。
ゆっくり休む。

国によっては、
脂っこい朝食や、
“hair of the dog” と呼ばれる迎え酒の話もある。

日本でも、
「迎え酒」という言葉は昔から残っている。

本当に体にいいのかはともかく、
人は昔から、
なんとかして翌日のつらさをやり過ごそうとしてきたのだろう。

けれど、
日本の二日酔い文化には、
少し独特な空気があるようにも感じる。

それは、
「飲んだ後に回復する」より、
「飲む前から備える」空気だ。

しかも、
そのためのドリンクが、
コンビニで当たり前のように並んでいる。

海外から見ると、
少し不思議な光景かもしれない。

そこには、
日本らしい働き方や、
人付き合いの文化も関係しているのだろう。

飲み会の次の日も、
普通に仕事へ行く。

周囲に迷惑をかけないようにする。

休むより、
まず戻る。

そんな感覚。

もちろん、
本当に効果があるのかは、
人によって感じ方が違うだろう。

それでも、
小さな瓶を一本飲むことで、
少し安心する人もいる。

成分だけではなく、
「これで大丈夫」という気持ちも、
一緒に飲んでいるのかもしれない。

夜遅くまで働き、
人付き合いをしながら、
次の日もまた動き出す。

日本の二日酔いドリンクには、
そんな社会の空気が、
少しだけ入っているような気がする。


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