
子どもの頃。
お風呂の楽しみは、バスクリンだった。
今日は緑色。
今日はオレンジ色。
お湯の色が変わり、香りが広がる。
それだけで、いつものお風呂が少し特別になった。
日本では、湯船に入る前に体を洗う。
かけ湯をして、汚れを流してから入る。
そして家族で同じお湯を共有する。
お風呂は、体を洗う場所というより、温まり、くつろぐ場所なのかもしれない。
だからだろうか。
日本には、たくさんの入浴剤がある。
炭酸系。
生薬系。
温泉の素。
そして保湿を目的にしたもの。
旅行先で入った温泉を、家でも楽しみたい。
そんな気持ちが商品になっているようにも見える。
海外にもバスソルトやアロマバスはある。
硫黄の香りがする温泉も世界各地に存在する。
ただ、日本のように「温泉地の名前が書かれた入浴剤」を買い、家で温泉気分を楽しむ文化は少し珍しいのかもしれない。
最近は、保湿をうたった入浴剤も増えた。
乾燥する季節。
年齢とともに変わる肌。
そんな悩みに寄り添う商品も多い。
子どもの頃の私は、色と香りしか見ていなかった。
けれど大人になると、
温まりたい人がいる。
香りで気分転換したい人がいる。
温泉気分を味わいたい人がいる。
肌の乾燥を防ぎたい人もいる。
求めるものは違っても、
「お風呂の時間を少し心地よくしたい」
という気持ちは同じなのかもしれない。
「病は気から」
という言葉がある。
香りで病気が治るわけではない。
入浴剤だけで健康になれるわけでもない。
それでも、
今日はゆっくりお風呂に入ろう。
そう思えるだけで、少し救われる日もある。
薬が身体に働きかけるものなら、
入浴剤は、身体と気持ちの両方に寄り添うものなのかもしれない。
子どもの頃の私は、効能なんて気にしていなかった。
ただ、
今日は何色のお風呂かな。
それが楽しみだった。
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