
昔、家の棚に、薬箱が置かれていた。
風邪薬。
胃薬。
絆創膏。
気が付けば入っていて、
使った分だけ、あとで支払う。
そんな仕組みを、
見たことがある人もいるかもしれない。
日本では、
「置き薬(配置薬)」という文化が、
今も一部で残っている。
ドラッグストアも、
ネット通販もある時代。
それでも、
完全には消えていない。
なぜだろう。
昔は、
病院や薬屋が遠い地域も多かった。
雪。
山。
台風。
「必要になってから買う」
では間に合わないこともあったのかもしれない。
だから、
家に薬を置いておく。
これは、
災害用の備蓄にも少し似た、
日本の「備える文化」の一つなのかもしれない。
海外でも、
昔は行商の薬売りのような存在がいた地域はある。
ただ、
現在の日本のように、
家庭へ薬箱を置き、
定期的に補充し、
使った分だけ後で支払う。
そんな仕組みが、
生活の中に比較的残っているのは、
少し珍しいのかもしれない。
海外では、
必要になった時に薬局へ行く考え方が、
比較的強い国もある。
スーパーや薬局で、
その都度、自分で買う。
一方、日本の置き薬は、
「念のために置いておく安心」
が少し近い気がする。
持参された薬を確認していると、
時々、
「これは、いつの薬だろう」
と思うほど古い薬を見ることがある。
家に置いてあると、
ついそのまま残り続けることもあるのだろう。
その点、
定期的に中身を確認し、
古い薬を入れ替える置き薬は、
ある意味、
安心できる仕組みなのかもしれない。
もちろん、
薬は置いてあれば安心、
というものでもない。
期限。
飲み合わせ。
誰が飲むのか。
気を付ける必要もある。
それでも、
置き薬文化が、
今も少し残っているのは、
効率だけではない、
別の安心感があるからなのかもしれない。
薬を置く。
定期的に確認する。
少し会話をする。
そこには、
薬だけではない、
人とのつながりによる安心感も、
含まれている気がする。
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