訪問日:2025年3月6日
京都のそうめん屋の主人にもらった、
「京都のうまいもの」の店リスト。
その日、いくつもの店を続けて巡り、
鍵善良房(かぎぜんよしふさ)にも足を運んだ。

「鍵善のくずきりは一度食べてみて」と勧められてやってきた。

祇園のメインストリートにあり、
外からは少し入りにくい高級感。
混雑している通りとは対照的に、
店内は驚くほど静かで、
予約なしでもすぐに案内された。
くずきりに、
海外の人はあまり関心がないのだろうか。
客は日本人だけ。
しかも、上品な雰囲気の人が多く、
場にふさわしくあろうと、
少し気を遣ったことをよく覚えている。

つかみにくいくずきりに合わせたお箸でした。

味は、たしかに美味しかった。
けれど、何度も通いたい店というより、
「行ったことがある」と
静かに語るための場所かもしれない。
もともと、くずきりやところてんは
特別好きなわけではない。
それでも――
あの日の空気だけは、
今もはっきり残っている。
店を出たあと、
鍵善ゆかりの品を集めた小さな美術館に、
ふと立ち寄ったことを思い出す。

鍵善ゆかりの品を集めた小さな美術館「ZENBI」

甘さの余韻は、
静かな時間の中へ続いていた。
