生姜焼き定食|めしさんど
訪問日:2026.2.22(日)
龍安寺を出ると、夕方の光が少しやわらいでいた。
石庭の静けさは、まだ体の中に残っている。
話し声はあるのに、物音がほとんどしない不思議な空間。
その余韻のまま、商店街の方へ歩いた。
営業中の札が出ている、小さな手打ちうどんの店を見つけた。
ここで軽く食べて帰ろうと思った。
店に入ると、年配の女性が言う。
「ご飯ものはもう終わり。うどんならできる」
かもなんばを頼んだ。
そのあと、店の奥から大きな声が聞こえてきた。
厨房にいる男性が、女性を強い口調で責めている。
どうやら閉店の時間だったらしい。
客は、私ひとり。
うどんが出来上がるまで、
その声はずっと続いていた。
味は覚えている。
けれど、印象に残ったのは別のものだった。
店を出たあと、思った。
今日は、このまま終わりたくない。
京都の食事を、もう一度やり直そう。
そう決めて、嵐電の駅へ向かった。
龍安寺駅から嵐電に乗る。
帷子ノ辻で乗り換え。
少し分かりにくい乗り換えだった。
終点、四条大宮。

嵐電龍安寺駅。
小さな駅から京都の街へゆっくり戻っていく。
そこから阪急烏丸駅まで歩いた。
夕方の京都の街は、少し落ち着いている。
観光客が並ぶ店ではなく、
地元の人が入っていく店を探した。
そこで見つけたのが
めしさんどだった。

室町干物食堂「めしさんど」。
京都の夜、素朴な食堂の灯りが温かい。
店内は、若いスタッフばかりだった。
アルバイトの子を、
部活の先輩が教えているような雰囲気。
体育会系のような、
明るく元気な店だった。
この店は、魚料理が売りらしい。
けれど、その日の疲れた体は
魚ではなく肉を欲していた。
選んだのは、生姜焼き定食。

生姜焼き定食。
歩き続けた一日の最後に、体がほっとする素直な味。
しばらくして運ばれてきた皿から、
甘辛い香りが立ち上がる。
豚肉にからむ生姜の香り。
少し濃いめのたれ。
白いご飯がすすむ味だった。
京都の料理は、出汁の世界。
静かで、繊細だ。
でも、生姜焼きは違う。
真っ直ぐだ。
豚肉。
醤油。
生姜。
それだけで成立する味。
昼に食べた京料理は、
心を回復させてくれた。
そして夜の生姜焼き定食は、
疲れた体を回復させてくれた。
京都は、
静かな料理も、
普通の定食も、
どちらもちゃんと存在している。
どちらも、この街の味だ。
もしブログをしていなかったら、
私は龍安寺にも来ていなかった。
そして、この店にも入っていなかった。
京都の一日は、
金色の寺から始まり、
静かな庭を通り、
最後は
「室町干物食堂 めしさんど」の生姜焼き定食で終わった。
今日もよく歩いて、よく食べた。
充電完了。
また日常へ戻る。
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