🍵美と味(万博)①

赤丸食堂の午後

― 昭和の店で出会った、メガトン級ランチ ―

訪問日:2025.6.1

万博へ向かう途中、弁天町で昼食をとった。

選んだのは、赤丸食堂。
昭和の空気が、そのまま残っている店だった。


昭和の店に、一人で入るということ

店の前には、数人の列。

ピークは過ぎているらしく、
待ち時間は、それほど長くなさそうだった。

女性が一人。
少しだけ、緊張する。

通されたのは、カウンター席。

私の後ろに並んでいた若い男性が、隣の席に座った。
先に、その男性が注文する。

「ホリデーランチ」

あ、同じだ。

次は私の番。

「ご飯の量、どうされますか?」

「中でお願いします」

この一言が、
のちに悲劇を生むことになる。

限定30食につられて注文


メガトン級ランチの衝撃

写真では、大きそうには見えなかった。

でも、運ばれてきた瞬間、思った。

……いや、おかしいだろ。

ワンプレートに乗っている。
けれど、そのプレートが、めちゃくちゃ大きい。

味噌汁も、副菜も、普通の量。
問題は、メインのおかずだった。

大きい。
そして、多い。

一皿だけが、明らかに異常なサイズ感。

さらに、あとから気づいた。

ご飯の「中」も、大きい。

せめて、これが小さければ。

美味しい。
でも、逃げ場がない。

おかずの量だけが、容赦なく迫ってくる。

ここは、
ガッツリ系の男性の聖地なのだと思った。

女性が一人で挑む場所ではなかったのかもしれない。

どうしよう・・・。


母の声が、よみがえる

私は、母にこう育てられた。

「食べ物は、残したらあかん」

昭和の家庭の、あたりまえ。

逃げ場はない。

時間をかけて、
一口ずつ、戦うように食べる。

途中で、
「これは修行かもしれない」と思った。

そして、なんとか完食。


満腹が、旅を変えた

店を出たあと、思った。

「これは…やりすぎたかもしれない」

結果的に、万博では、
まったくお腹がすかなかった。

飲んだのは、ドリンクだけ。

万博の一日は、
赤丸食堂によって、すでに決まっていた。

満腹というより、
“覚悟”を食べたような昼だった。

おわりに

赤丸食堂は、
おしゃれな店ではない。

飾らない大阪の庶民的な空間。
妥協しない。
あたたかい。
人の気配が濃い。

そんな場所だった。

量も、味も、空気も、
すべてが、今の時代には少し過剰。

だからこそ、
記憶に残る。

あの日の万博を支えていたのは、
未来ではなく、弁天町の一皿だったのかもしれない。

(※この日の万博の一日は、「途中下車の万博①」で書いています)
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