🕯️YUMEVOJAお遍路一人旅 − エピソード2: 教訓を学ばない一日と、進み方を考え直した夜

今回のお遍路は、前回の後半と行程が重なっていた。
一度歩いた区間でもあり、迷いはない。
ガイドブック(電車プラン)で設定されている一区切りで終えるのは、少し時間がもったいないとも感じていた。

お遍路の道具はすでに揃っており、駐車場も前回のうちに確認済み。
今回は、購入や下調べに時間を取られることもない。
その分、2区間くらいは行けるのではないか──そう思っていた。

しかし、この判断が甘かった。
案の定、時間通りには進まなかった。

【1日目】スタート

今回のお遍路は1泊2日。
1日目と2日目を分けて記録することにした。
エピソード2は【区切り2-1】、1日目の記録。

JR板野駅

駅前駐車場に車を止める。
13台ほど駐車でき、一日350円。
機械で発券し、レシートをダッシュボードに置く方式。
この時点では、まだ余裕があった。

板野駅。ここに車を止めて、1日目が始まった。

五百羅漢

前回、時間がなくて見られなかったため、今回はここからスタート。
薄暗い空間に並ぶ木造の羅漢像。
その表情は、思っていた以上に怖く感じられた。

6番 安楽寺

7番 十楽寺

ここまでが、ガイドブック上の「区切り」。
しかし、調子に乗って、そのまま先へ進んでしまう。

この時は、まだ余裕があると思っていた。

――またしても、これが悲劇を生む。
前回の教訓を、まったく学んでいなかった。

8番 熊谷寺

9番 法輪寺

小豆洗い大師

勢いのまま進み続ける。

10番 切幡寺

納経終了時間が迫る中、立ちはだかる333段の石段。
雨も降り始めた。

ここまで来て、納経ができないのはつらい。
必死で雨の中、石段を駆け上がる。

間に合うか。
時計はすでに17時を過ぎていた。

納経所は閉まっている。
絶望の中、立ちすくむ私に、優しい声がかかった。

「納経ですか?」

声をかけてくれたのは、お寺の高齢の女性だった。
本当は時間を過ぎているからダメだけど、
雨の中気の毒だから、と特別に納経をしてくださった。


次の試練

このあと、阿波川島駅へ向かうつもりだと伝えると、
「え?どこ?」と驚かれる。

「3時間はかかるんじゃない?」

ガイドブックには1時間30分ほどと書いてある。
しかし、日が暮れ始めていた。

再び、絶望。

すると「タクシーを呼んだら?」と助言をもらう。
だが携帯の電波が届かず、公衆電話からタクシー会社に連絡。
返ってきたのは「予約しか受けない。今日はもう終わり」という言葉。

必死で解決策を尋ねると、
「しょうがないな、今から行ってあげるよ」
そう言って、来てくれることになった。

「お寺の少し下、車が止まれるところまで行くから、そこで待ってて」

石段とは別の道を下りるが、急な石の坂でしりもちをつく。
痛かったが、それどころではなかった。

10番札所 切幡寺


ありがたい助言と、揺れる気持ち

タクシーで板野駅へ戻る道中、
お遍路について、率直な助言を受けた。

歩く速度、寺を巡るペースを確認され、
「そのペースなら、11番からの難所は諦めなさい」と言われる。

年配でも難所を難なく歩く人はいる。
しかし、その人たちは十分な速度と体力がある。
今の私のペースでは危険だ、と。

バスで回るツアーを勧められた。

助けてくれた感謝と、
「歩き遍路は無理だ」と言われた現実。

気持ちは大きく揺れた。

板野駅から車で、徳島駅近くのビジネスホテルへ戻っても、
頭の中は混乱したままだった。

11番から12番は、最難関。
このまま明日、すごすご帰るのか。


出した結論

考え抜いた末に出した結論は、こうだった。

順番通りに回らなくていい。
初心者でも回りやすい場所から巡り、
お遍路と歩きに慣れてから、難所に挑戦する。

今回も、地元の方に迷惑をかけてしまった。
それでも、諦めたくなかった。

可能な限り、歩いて回りたい。

翌日は、ガイドブックで「初級」と書かれているコースへ変更。
11番・12番を飛ばし、
13番から17番を巡ることに決めた。

【追記】

この日の行程は、結果的に無理のある判断が重なってしまいました。
納経の終了時刻も、表記上は17時とされていても、
実際には30分ほど前(16時30分)を目安に行動するのが暗黙のルールだと、あとで知りました。

また、コロナ以降、
宿をやめた所、営業形態が変わった所も多く、
ガイドブックの情報がそのまま当てはまらない場面も少なくありませんでした。
事前に調べていても、現地では状況が違うことがあります。

この記録は、
「こうすればうまく回れる」という話ではなく、
無理をすると、こうなるという自分への戒めです。

これからお遍路を始めようか迷っている方、
歩き遍路を考えている方が、
少し立ち止まって計画を見直すきっかけになればと思い、
あえてそのまま書き残しました。

急がず、比べず、自分の歩幅で。
お遍路は、それでも十分に意味があると、今は思っています。