訪問日:2025.5.11
京都国立博物館は、相変わらず混んでいました。
ただ、入場は思ったよりもスムーズ。
中に入ると人の流れは多く、以前学んだ
「空いているところから見ていく」作戦が、今回も役に立ちました。
特別展「日本、美のるつぼ」は、日本美術が異文化と交わりながら、どのように育ってきたかをたどる展示です。
弥生・古墳時代から明治期まで、絵画や工芸を通して、時間の積み重なりが静かに伝わってきます。
印象に残ったのは、蒔絵でした。
漆そのものは外来の文化ですが、蒔絵という表現は日本独自に発展した技法です。
受け取ったものを、そのまま使うのではなく、徹底的に磨き上げる。
その姿勢が、日本の美の奥行きをつくってきたのだと感じました。
さらに心をつかまれたのは、復元された茶入れです。
焼けて砕けた破片を漆でつなぎ、見た目は完全に再生されています。
レントゲン写真では、内部に無数の継ぎ目。
見えないところにこそ、技術と執念があることが分かります。
修復には、欠けた部分を金でつなぎ、あえて傷を見せる金継ぎという方法があります。
一方で、今回の茶入れのように、割れたことすら気づかせない修復もある。
どちらも、日本らしいこだわりの美意識です。
壊れたことを誇る美と、
壊れたことを消し去る美。
日本の美は、「どう作るか」だけでなく、
「どう見るか」を問い続けてきたのだと思いました。

1897年(明治30年)に帝国京都博物館として開館。
洋館でありながら、京都の寺社景観と調和するよう設計された建物。

風神雷神が好きすぎて、マイバッグを購入。背景は黄色で。知人に「金運アップしそう」と褒められた。
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🍵 美と味(美のるつぼ)①/②月ヶ瀬

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🧿 フランスへの扉
割れた器と「完全な形」
フランスでは、割れた陶器は
修復するより、新しくする選択が一般的でした。
美は「完全な形」に宿ると考えられてきたからです。
18世紀のヨーロッパでは、
欠けた磁器を直すこと自体が、
価値を下げる行為と見なされることもありました。
ただし、王侯貴族のコレクションには例外があります。
思い出や由来を重んじる品は、
できる限り元の姿に近づけて修復されました。
金継ぎがフランスで注目され始めたのは、比較的最近のこと。
「傷を隠さない美」は、
いま、新しい感性として受け取られています。
✈ フランス語も一緒に楽しみませんか?
文法や発音は、YouTubeチャンネル YUMEVOJA フランス語への扉 で解説しています。
さらに詳しい学習記録や再挑戦ストーリーは、このブログのカテゴリー 「フランス語 再挑戦」 へどうぞ。

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🧿アラビアへの扉
割れた器と「役目の終わり」
イスラーム圏では、
日常の器は「使えなくなったら役目を終える」
という考え方が基本にあります。
割れた器を無理に直すより、
形あるものは、いずれ終わるという思想が重視されます。
一方で、モスクの装飾や写本など、
信仰に関わるものは徹底的に保存・修復されます。
用途によって、扱いがはっきり分かれているのです。
日常の器は土に還り、
意味や祈りは記憶に残る。
「物」より「意味」を大切にする文化です。
“わからない”を、楽しいに変える。
それが「アラビアへの扉」
