区切り1−2|2024年6月16日
やっと車を止められたのが、一番札所・霊山寺(りょうぜんじ)だった。
読み方もわからず、カーナビの入力に少し手間取った。
ここがスタート地点になる。
本堂の横にある販売所で、最低限の道具をそろえた。
続くかどうかは、正直まだわからない。
札の書き方を教えてもらい、車を置かせてもらえるようお願いをする。
バスで車に戻る予定だと伝えると、
販売所のおじさんは少し心配そうな顔をして、
板野駅からのバスは本数が少ないから気をつけるように、と言った。
そのときは、
「大丈夫だろう」
そう思っていた。
参拝を始めると、お寺の女性から手作りの巾着をいただいた。
これが、記念すべき最初のお接待だった。
いくつかある中で、一番小さいものを選んだ。
後半のお遍路で、
同じ女性からお接待を受けた子ずれの女性に出会う。
そして、その子ずれの女性も、同じものを選んでいた。

1番札所 霊山寺(りょうぜんじ)
歩き始めてしばらくは、気持ちが高揚していた。
二番、三番と進み、三番札所・金泉寺を出て、JR板野駅へ向かう。
ガイドブックでは、ここまでが一区切り。
販売所のおじさんの言葉も、
「ここからバスで戻る」ことを前提にしていた。
それでも、
せっかく来たのだから、まだ行ける
という気持ちが勝った。
ガイドブックに載っていた、番号のない寺にも足を向けた。
宝国寺、愛染院。
十分な準備も、下調べもしていない。
あえて調べないことで、
少しだけ冒険の気分を味わっていた。
でも、その「軽さ」は、
暑さの中では、ただの無防備さだった。
白衣は思っていた以上に厚く、風が通らない。
水分も、意識して取っていなかった。
道に迷いながら進み、体力がじわじわ削られていく。
気がつくと、四番札所・大日寺で、
座り込んで動けなくなっていた。
住職が異変に気づき、声をかけてくれた。
日陰の長椅子に案内され、
冷たいスポーツ飲料、塩分補給のスナック菓子、
凍らせたアイスノンを用意してくれた。
しばらく、何も考えず、ただ休んだ。
少し落ち着いた頃、
お遍路の心構えについて話をしてくれた。
暑いときは、白衣はお寺の中だけでいい。
参る気持ちが大事で、道具は重要ではない。
続けるなら、しっかり準備をすること。
形にこだわりすぎないこと。
責めるような言い方ではなかった。
でも、その言葉が、胸に残った。
形から入った自分が、
少し恥ずかしくなった。



4番札所 大日寺(だいにちじ)
五番札所・地蔵寺まで進んだあと、
今日はここまでにしようと決めた。
帰ることにする。
幹線道路を走る路線バスが見えていたので、
簡単に一番札所へ戻れると思っていた。
しかし、実際は、
一時間に一本あるかどうか。
それも、板野駅まで。
寺は17時まで。
駐車場が閉まれば、車に戻れない。
翌日は仕事だった。
仕方なく、幹線道路を歩いて戻ることにした。
暑さと疲れの中、必死に歩いた。
お遍路道は、
「え?こんなところを行くの?」
と思う道が多い。
細く、くねくねしていて、迷いやすく、足場も悪い。
白いスニーカーは、
ぬかるみにはまり、泥だらけになった。
奇跡的に早く戻れたのは、
走ったこともあるが、
幹線道路がまっすぐだったおかげだった。
17時を少し過ぎて、
一番札所の駐車場に着いた。
車に近づくと、
販売所のおじさんが出てきて、
「心配していた」と言った。
申し訳なさと、
助言を軽く考えていた自分を、
深く反省した。

この一日で、
便利な生活にどれほど助けられているかを思い知った。
バスも、タクシーも、
いつでもあるものだと思っていた。
お遍路道は、
その前提を簡単に裏切る。
でも、それは不便というより、
考える時間を与えられているのだと思う。
助言は、
経験から生まれている。
軽んじた代償は、
身体ではっきりと返ってきた。
それが、この日の学びだった。

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