【YUMRVOJA 文化体験】酒に酔う下界を通り、桜に酔う天界へ

春、関西に住んでいながら一度も訪れたことのなかった1883年から続く「造幣局の桜の通り抜け」。今年ようやく、その特別な体験を味わうことができました。結果から言えば、そこには“二つの春”がありました。酒に酔い笑う下界と、桜に酔い心洗われる天界。その対比が、私の心に深く刻まれました。

裏口からのスタート。春の喧騒と滑り込み入場

良く調べず予約時間ギリギリに到着した私は、表門ではなく、川沿いの裏手からの入場ルートを案内されビックリ。これがすでにちょっとした冒険。天満橋から桜ノ宮へと続く川沿いの道は、花見客と屋台でごった返し、足取りは重く、時間はどんどん過ぎていきます。まさかの滑り込み入場、まるで桜に急かされているようでした。

下界の賑わい。屋台と酔客と春のざわめ

川沿いには屋台が並び、たこ焼きの香ばしい匂いと、焼きそばの湯気が立ちのぼります。手には缶ビール、口には笑い声。あちこちで「かんぱーい!」と声が上がり、春の祭りのような空気が満ちていました。まさに“下界”。季節に酔い、酒に酔い、人が人を楽しんでいる風景。

救急搬送の担架と、現実の影

そんな喧騒の中、突然現れた担架を運ぶ救急スタッフ。場が一瞬静まり返りました。お酒の飲みすぎか、体調を崩したのか…一瞬の出来事でしたが、「ほどほどに」という警告のようにも感じました。春の明るさの裏側に、現実の影も確かにあるのです。

結界を超えて。造幣局の門の向こうは天界だった

川沿いの喧騒を抜け、いよいよ造幣局の門へ。そこをくぐった瞬間、まるで別世界に足を踏み入れたような感覚がありました。飲食禁止の案内が静かに掲げられ、歩く人たちも皆、自然と声を潜めています。桜のトンネルに包まれるその空間は、まさに“天界”。香りと静けさ、花びらと光だけがそこにある場所。

珍しい桜に酔う。静かな感動の連続

造幣局の通り抜けでは、よく見るソメイヨシノだけでなく、今年の桜「蘭蘭」、新品種「火打谷菊桜」、珍しい「二度桜」「養老桜」など、普段あまり見かけない品種の桜が次々に現れます。142品種340本。そのひとつひとつに名札が添えられており、歩を進めるごとに小さな発見があるのです。思わず何度も立ち止まり、写真を撮り、眺める。その繰り返しが、心を穏やかにしていきました。

天界と下界、ふたつの春を越えて

最後の桜を抜け、出口にたどり着いたとき、ふと後ろを振り返りました。そこには、もう一度歩きたくなるような美しい並木道。そして、その外には再び屋台と笑い声の“下界”が広がっていました。酒に酔う人々と、桜に酔う私。どちらの春も、間違いではない。ただ私は、また来年、天界の静けさに会いに行きたいと思ったのです。

※この記事は「文化体験」カテゴリに分類されています。関西の季節の魅力や日本の伝統行事を体験記として発信中。

📝来年の参考に:造幣局・桜の通り抜け 基本情報

🌸 開催時期:例年4月中旬の1週間(2025年は4月5日〜11日でした)

📅 完全予約制:混雑緩和のため、現在は事前申込必須(インターネット受付)

🕓 おすすめ時間帯:午後遅め(17:30〜19:00)が比較的空いています

🚪 入口と出口の位置に注意:

  裏の川沿いから入り表通りに出てくるため、帰り道の動線を事前に確認しておくと安心です

🌸補足

> 今年(2025年)の桜はすでに終わりましたが、来年は余裕を持って、静かな桜の“天界”を歩いてみてください。

そして、出口が表通りに面しているため、集合場所や帰りの動線は逆算しておくとスマートです。

小さな工夫で、春の体験がもっと心地よくなるはずです。

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